ホテル集客は「順番」が9割|OTA依存を抜け出す90日ロードマップ

ホテル集客は「順番」が9割|OTA依存を抜け出す90日ロードマップ

・毎月のOTA手数料の請求を見るたびに、ため息が出る。
・集客方法を調べても、施策が並ぶだけで何からやればいいか分からない。

本記事は、そんな中小ホテルの支配人・経営者のための「施策順」の話です。

結論を先に言えば、ホテル集客で大事なのは施策の"数"ではなく"順番"です。そしてOTAをやめる必要は無く、依存度を下げればいいのです。

本記事では「土台→刈り取り→積み上げ」という90日のロードマップで、今ある予算と人員のまま自社予約とリピーターを積み上げる手順をお伝えします。読み終えたとき、明日やるべき最初の一手がはっきり見えているはずです。

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なぜ「集客方法◯選」を読んでも稼働が上がらないのか

「ホテルの集客方法、結局なにから始めればいいんですか?」

ホテルの集客で多くの方が抱く疑問がこれです。そして裏には、たいてい同じ悩みが隠れています。

「施策の名前は知っている。OTA(Online Travel Agent=じゃらん・楽天トラベル・Booking.comなどのオンライン旅行予約サイト)、SNS、MEO、メルマガ。でも、自分のホテルの規模と人手で”効く順番”が分からないから動けない」という悩みです。

「ホテルの集客方法◯選」といった記事の多くは、施策を並べるだけなので無理はありません。

OTAの最適化も、Instagramも、Web広告も、口コミ対策も、すべてが同じ重さで提示される。けれど現場には、専任のWeb担当もいなければ、潤沢な広告予算もない。全部はできないのです。

そしてもう一つ、多くの支配人がはまっている思い込みがあります。

それは「集客とは、OTAでの露出をもっと増やすことだ」という発想です。じゃらんや楽天トラベルでの掲載順位を上げ、クーポンを出し、プランを増やす。

たしかに予約は増えるかもしれません。ですが、増えた予約の一件ごとに送客手数料がかかります。稼働が戻れば戻るほど、手数料の総額も比例して膨らんでいくのです。

OTAという集客チャネルは、予約が増えるほど費用も増える構造です。これは固定費ではなく、売上に連動する変動費だと考えてください。

< ✍️ 一言アドバイス >

【結論】:「集客方法を増やすこと」を目的にしないでください。まず決めるべきは「やらないこと」と「やる順番」です。

なぜなら、この点は多くの支配人が見落としがちです。「とにかく露出を増やそう」とOTAのプランを乱発し、手数料と価格競争で利益を削ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。施策は足し算ではなく順番です。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。

この記事では、施策を並べずに順番についてお話します。次の章で、その出発点となる「発想の転換」からお話しします。

集客は「経路の組み替え」|OTAはやめずに依存を下げる

結論から言いますと、ホテル集客の本質は、「予約が入ってくる経路(チャネル)のポートフォリオを組み替えること」です。OTAをゼロにすることではありません。

ここで、OTAと自社予約(公式サイトからの直接予約、いわゆる直販)の関係を整理しておきましょう。この二つは「同じお客様を獲得する経路」でありながら、役割と収益構造がまったく異なります。

OTAは、あなたのホテルをまだ知らない人と”出会う”ための窓口です。 圧倒的な集客力と知名度があり、特にインバウンド(訪日外国人)のように自館を直接見つけにくい層には欠かせません。

一方で、出会いの対価として送客手数料がかかります。手数料は媒体・プラン・地域によって幅がありますが、一般に予約額の8〜15%程度が相場とされます(自館の契約条件は必ずご確認ください)。

自社予約(直販)は、一度出会ったお客様が”また戻ってくる”ための器です。 手数料がかからないぶん、同じ宿泊料金でも利益が多く残ります。さらに重要なのは、直販ならお客様の連絡先(メールアドレスやLINE)が自館の資産として手元に残ることです。この連絡先こそが、リピーターを生む種になります。

つまり、両者は対立するものではなく、役割分担の関係にあります。OTAで出会い、直販で再訪してもらう。 この流れを一本の道として通すことが、手数料を抑えながら稼働を安定させる王道です。

OTA経由で来てくれた「新規」のお客様を、次回は公式サイトから予約する「リピーター」へと変換していく。すると、OTA依存度は自然と下がり、利益率は上がっていきます。

ホテル集客の改善フロー図

この「経路の組み替え」を、どの順番で実行するか。それが次の章、90日ロードマップの中身です。

【90日ロードマップ】「土台→刈り取り→積み上げ」の順に動く

ここからが本題です。限られた予算と人員で着実に成果を出すために、施策を3つのフェーズに分けて時系列で実行します。順番を守ることが何より重要です。

全体像を先にお見せします。

OTA依存から抜け出す90日ロードマップ(フェーズ別アクション)

フェーズ時期主な施策目的費用感運用負荷最初の一手
① 土台0〜30日予約エンジン導入/公式限定特典/MEO(Google ビジネスプロフィール)整備直販の”受け皿”を作る低〜中Google ビジネスプロフィールの登録・情報整備(無料)
② 刈り取り30〜60日連絡先取得(メール/LINE)/口コミ依頼・返信の仕組み化既存接点を資産化するチェックアウト時のLINE友だち登録案内を設置
③ 積み上げ60〜90日メール/LINE配信/ダイナミックプライシング/(立地次第で)インバウンド・多言語対応リピートと客室単価を伸ばす中〜高閑散期の平日限定オファーを既存客へ配信

順番に見ていきましょう。

フェーズ1(0〜30日)|土台:直販の「受け皿」を整える

最初にやるべきは、広告でもSNSでもなく、「受け皿づくり」です。お客様が「このホテル、公式から予約しよう」と思ったときに、迷わず予約できる状態をつくります。

第一に、自社サイトへの予約エンジンの導入です。予約エンジンとは、公式サイト上でお客様が空室確認から決済までを完結できる予約システムを指します。これがないと、せっかく公式サイトを訪れた人もOTAに流れてしまいます。

予約エンジンは、直販という売上を成立させるための必須インフラです。あわせて「公式サイトが一番お得」と明示しましょう。公式限定特典(ドリンク券、レイトチェックアウト等)やベストレート保証(公式が最安値である約束)が効果的です。

第二に、Google ビジネスプロフィール(MEO)の整備です。MEOとは、Google マップや地図検索で自館を見つけてもらいやすくする取り組みのこと。「(地名)ホテル」「◯◯駅 ホテル」と検索したとき、地図に自館が魅力的に表示される状態をつくります。

Google ビジネスプロフィールの登録は無料で、地図検索での露出は直販の新規入口を増やす効果があります。写真の充実、営業情報の正確な記載、口コミへの返信を継続するのがポイントです。

< ✍️ 一言アドバイス >

【結論】:受け皿(予約エンジンとGoogle ビジネスプロフィール)が整う前に、Web広告やSNS運用に手を出さないでください。

なぜなら、この点は多くの支配人が見落としがちで、受け皿のないまま広告で人を集めても、予約完了までの導線がなく流入を取りこぼすからです。失敗の大半は「順番の取り違え」です。穴の空いたバケツに水を注いでも貯まりません。まず穴をふさぐことが土台フェーズです。

フェーズ2(30〜60日)|刈り取り:既存の接点を資産に変える

受け皿ができたら、次はいま目の前にいるお客様の連絡先を、自館の資産として蓄積します。OTA経由で来た「新規のお客様」を、リピーターの候補に変えていく工程です。

まず、メールアドレスやLINE友だちの取得。チェックイン時、客室内、チェックアウト時、そしてWi-Fi接続の動線など、お客様と接するすべての場面が連絡先取得のチャンスです。

「次回ご利用時に使える公式限定クーポンをLINEでお送りします」といった、お客様にとっての”得”とセットで案内するのがコツです。この連絡先の蓄積こそが、後のリピーター(LTV=顧客生涯価値)向上の起点になります。

次に、口コミ(レビュー)の依頼と返信の仕組み化です。OTAやGoogle 上の評価点とレビュー件数は、新規のお客様が予約を決める際の判断材料になります。

評価が上がれば予約率も上がるという関係を意識し、滞在に満足してくれたお客様へ自然に口コミを依頼する流れと、寄せられた口コミへ丁寧に返信する運用をルール化しましょう。

フェーズ3(60〜90日)|積み上げ:リピートと単価を伸ばす

土台と刈り取りができて初めて、積み上げが機能します。

蓄積したメール / LINEの宛先に向けて、閑散期や平日のオファーを配信します。OTAに頼らず、手数料ゼロで稼働の谷を埋められることが直販リピーターを持つ最大の強みです。一度泊まってくれたお客様は、まったくの新規より圧倒的に予約に至りやすい層です。

加えて、ダイナミックプライシング(需要に応じて宿泊料金を変動させる価格最適化)の導入を検討します。

需要の高い日は適正に値上げし、低い日はパッケージ(連泊割、地元体験付きプランなど)で価値を訴求することも重要です。これは客室あたりの収益指標であるRevPAR(販売可能客室あたりの収益)の改善に直結します。

そして立地によっては、インバウンド・多言語対応が大きな上乗せになります。日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計によれば、訪日外国人旅行者数は過去最高水準を更新しています。

海外からのお客様は海外OTAや多言語の公式サイト経由で予約する傾向が強いため、多言語対応への投資対効果は高まっています。自館の立地に訪日需要があるなら、優先度を上げる価値があります。

ここで、フェーズ全体を貫く「OTA経由」と「自社直販」の違いを、収益の観点から整理しておきましょう。

< OTA経由予約と自社直販の違い(収益構造の比較)>

観点OTA経由予約自社直販(公式サイト)
送客手数料かかる(一般に予約額の8〜15%程度が相場)かからない(同じ料金でも利益が多く残る)
新規との出会い強い(露出・知名度・インバウンドに有利)弱い(自館を知る人が中心)
 顧客データ(連絡先)基本的に手元に残りにくいメール/LINEが自館の資産として残る
リピート施策打ちにくいメール/LINEで直接アプローチ可能
役割新規と出会う「窓口」再訪を生む「器」

この表が示すとおり、OTAと直販は優劣ではなく役割が違います。OTAで出会ったお客様を直販の器に移していくことが90日ロードマップの狙いです。

< ✍️ 一言アドバイス >

【結論】:3つのフェーズを同時に始めないでください。一度に動かせるのは、せいぜい1〜2施策です。

 なぜなら、この点は人手の少ない中小ホテルが最も陥りやすい失敗で、施策を同時多発させると現場のオペレーションが破綻し、どれも中途半端に終わるからです。「土台を1つ完成させてから次へ」と割り切ったホテルほど、明確な差が生まれやすいです。

自館の現在地を知る|稼働率は「何と比べるか」が肝心

施策に着手する前に、自館の現在地を客観的な数字で把握しておきましょう。判断の出発点になるのが客室稼働率です。

ここで大切なのは、自館の稼働率を全国・同タイプの平均と比較することです。観光庁の「宿泊旅行統計調査」は、客室稼働率を施設タイプ別(シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテル、旅館など)に毎月公表しています。

一般に、シティホテルやビジネスホテルは稼働率が高く、旅館やリゾートホテルは相対的に低い傾向があります。タイプの違うホテルの数字と比べても意味がありません。

自館と同じタイプ・近い立地の水準と照らし合わせることで、「うちは平均より低いから伸びしろがある」「平均並みだから単価で勝負だ」といった判断ができます。

< ✍️ 一言アドバイス >

【結論】:まず「予約経路の比率」「客室稼働率」「直販比率」の3つを紙に書き出してみてください。これが90日ロードマップの出発点です。

なぜなら、この点は意外と多くの支配人が把握しておらず、現在地が分からないまま施策を選ぶと、効果測定もできないからです。直販比率が今5%なのか30%なのかで、打つべき手はまるで変わります。数字を書き出すだけで、最初の一手はおのずと見えてきます。

よくある質問(FAQ)

Q. OTAは解約してしまった方がいいのでしょうか?

A. いいえ、解約はおすすめしません。OTAは、自館をまだ知らない新規客やインバウンドと出会うための強力な窓口です。目指すのは「脱却」ではなく「依存度を下げる」こと。OTAで出会ったお客様を直販リピーターに変換し、経路の比率を少しずつ最適化していくのが現実的です。

Q. 予算がほとんどありません。無料で始められることはありますか?

A. あります。Google ビジネスプロフィール(MEO)の整備は無料で、地図検索での露出という新規の入口を増やせます。チェックアウト時のLINE友だち登録案内や、口コミへの返信なども、コストはほぼかかりません。まずは無料でできる土台づくりから始めましょう。

また、無料で宣伝できるツールとしては、「エキテン」もおすすめです。無料で使えるのにホームページ代わりとしての情報掲載ができます。また、口コミを集めやすいツールも使えるため、集客に欠かせない信頼性の獲得にも向いています。

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Q. 専任のWeb担当がいなくても運用できますか?

A. できます。だからこそ「順番」が重要なのです。一度に1〜2施策に絞り、土台を一つ完成させてから次へ進みましょう。予約エンジンや口コミ管理はツールに任せられる部分も多く、少人数でも回せます。同時多発だけは避けてください。

Q. 効果はどのくらいで出ますか?

A. 施策によります。Google ビジネスプロフィールの整備や口コミ改善は比較的早く反応が出やすい一方、直販比率の改善やリピーターの積み上げは数ヶ月〜年単位で効いてきます。90日は「仕組みを立ち上げる」期間と捉え、その後の継続運用で果実を収穫するイメージです。

Q. 自館の稼働率は、何と比べればいいですか?

A. 観光庁「宿泊旅行統計調査」が公表する、自館と同じ施設タイプ(シティ/ビジネス/リゾート/旅館)・近い立地の客室稼働率と比較してください。全体平均ではなく、同タイプとの比較が現状把握の鍵です。

まとめ:全部やらなくてOK!まず最初の一つを決める

ホテル集客は、施策の数で決まるのではありません。順番で決まります。

要点を振り返りましょう。

第一に、集客とは「OTAの露出を増やすこと」ではなく「予約経路のポートフォリオを組み替えること」。OTAはやめず、依存度を下げる。

第二に、動く順番は「土台(予約エンジン・MEO)→刈り取り(連絡先・口コミ)→積み上げ(メール/LINE・価格最適化)」。

第三に、施策は同時多発させず、一つずつ完成させる。

あなたのホテルは、まだまだ集客できる可能性があります。OTAで出会ったお客様を、公式サイトのリピーターへと変えていく道を、今日から一本ずつ通していきましょう。

まず今日やることは、自館の「予約経路の比率」「客室稼働率」「直販比率」の3つを書き出し、90日ロードマップの最初の一手である、無料で始められるGoogle ビジネスプロフィールの整備、または予約エンジンの検討を進めてください。

全部を一度にやる必要はありません。最初の一つを決めることが、OTA依存から抜け出す第一歩です。

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​この記事を書いた人

エキテン byGMO マーケティング担当:伊藤 匠

マーケター・ライター

現在、エキテン会員店舗向けの販促メールやLP制作を担当。これまでにSEO記事を約300本執筆し、ゼロから立ち上げたブログを通じて商品を販売してきた経験もあります。当メディアでは、「分かりやすく丁寧に」をモットーに、お店の集客に役立つ情報をお届けしていきます!